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国際有機農業映画祭2021
 

【明日をヘぐる】2021年/日本/73分 監督:今井友樹

山村の現金収入の一つであった楮の栽培は、高齢化と和紙の衰退に伴い減少している。土佐和紙の産地である高知県いの町では、地域の人たちの助力を得て栽培が続いている。楮を蒸して、外皮をはぎ取る作業を「へぐる」という。和気あいあいとしたへぐり作業の老人たちの雰囲気を醸し出す映像が表とすれば、その裏には高齢化による先行きの危うさがにじみ出てくる。「藤代さんがおらんなったらどうするが?後、誰がやる」と問われ、94歳の寅井さんは「いや、まだおる私」と返す。楮と山里の人々の暮らしを描く。

和紙は残すべき日本の伝統で、その原料となる楮、そして和紙を作るための工程の中にへぐる作業がある。古い画像が流れる。へぐる作業、その映画に出演していた原田美枝子さんが語りをしている。田島征三さんも双子の兄弟で出ている。

日本古来の産業がどんどん消えていく。小学生の時、社会科の資料に、ふつうにコウゾ・ミツマタ生産地の帯グラフがあった。それだけ大切な農産物だった。今や日本は安価な工業製品で溢れかえり、和紙は消えていった。映画を観て、残したいと思う。へぐるのもあの大きな蒸し器も独特。
数年前に福井の越前和紙の工房&ショップを見学したが、いかんせん商品は高い。ランチョンマットは汚せば終わりだし、ポチ袋を買った。誰か売れる商品を作ってくれないか。映画の中では「原料作りから紙を使う人までがつながって一つの輪になって安定した流れができるような形が作れたらと思っている」と、和紙職人。楮を育てる農家は、昔はこれで暮らせたと言っていた。コンサル案件。

スティールパンが出てきたのは地元のサークルがあるからなのだろうが、どうして曲目がボレロなのか

【大平農園405年目つなぐ】2021年/日本/77分 監督:森信潤子

東京都世田谷区の住宅地の一角に大きな欅の木が茂る大平農園の母屋がある。その落葉は、昔ながらの方法で発酵させて堆肥となる。落葉堆肥で作った苗は、やはり住宅地の一角の畑に植えられる。大平博四さん亡き後、畑はボランティアにより維持されてきた。園主の高齢化で、砂漠に浮かぶオアシスのような大平農園の畑はどうなるのか? 前作『大平農園401年目の四季』の危機的な状況はより深刻になる。しかし、春の種まき、定植、収穫、堆肥作りと農作業は淡々と続く。都市農業の可能性と、日本の農業が抱える後継者問題を描く。

大平農園はどうなったのだろうか、という心持ちで見る。なんやかんやどうやら犠牲的精神のような人が手を挙げてリーダーとなる。1年経った今どうなったのか・・・。2021年11月にNHKBSプレミアムで「ぶらり鉄道旅」東急大井町線を旅する回で、ここの農園に立ち寄っていたのを偶然見る。挙手の人が無事責任を果たしていた。そこのへん、解説で聞きたかった。

【グリホサートと私】2021年/フランス/52分 原題:LA BEAUCE,LE GLYPHOSATE ET MOI 監督:ISABELLE VAYRON

パリ南部の穀倉地帯では、播種前に除草剤グリホサートを散布する農法が行われている。子供が生まれたヴェロンさんは、なぜグリホサートを使うのか、依存しない農法はないか、周囲の農家の本音を取材する。一部の農家は使用しないように動き始め、有機農業を選択する若者も出てきている。規制が強化され、使用禁止の可能性も出てきている欧州。ドイツは2023年で禁止とされようとしている。農薬禁止に動いているフランスのグリホサートの収穫前散布の実情と農家の本音を描く。

マクロン大統領がグリホサート廃止と言い出したのに、農民に丸投げ状態になっており、前途危うい。お上の命令でも無理だろう。それみたことか。日本もかなり立ち後れている。解説農民連の八田氏の解説が補足完璧だった。輸入されてくる農産物もまたどれだけ危険なことか。

【壊れゆく森から、持続する森へ】2020年/39分 監督:香月正夫

国土の7割を占める日本。戦後復興を支えてきた林業も、高度成長期を過ぎ、「儲からない産業」の代名詞に。一方、戦後に植林された人工林も50年を超え、伐採時期となっている。政府の進める「大規模・集約」の伐採で、無残な姿に変わった山も多い。災害時の土砂崩れの防止、気候変動対策の役目も弱まる懸念材料になっている。そうした皆伐型林業ではなく、持続可能な山林経営と山の保全を目的とする自伐型林業への動きが各地で出てきている。鳥取県智頭町や自伐型林業を推進する全国ネットワークに取材し様々な持続可能な林業のあり方を探る。

昨年夏に熱海で土石流が起きた。その際は、森に対する人々の注目もかなりのものだったが、数ヶ月経つとどうだろう。人々の関心は移る。森、山を抱える日本は真剣に取り組まないと。

【津南高原生産組合と辻堂団地食品の会・記録】監督:小泉修吉 制作:グループ現代

安全な食品を手に入れたい神奈川県辻堂団地の主婦たちと、戦後入植した開拓が破綻して生き残りを探る新潟県津南高原の青年たちが手を結んだ。青年たちは生産組合を作り、主婦たちの希望を入れて野菜を作る。出稼ぎで稼いだ資金でトラックを買い、神奈川まで運ぶ。農家と消費者が直に協力して進める「提携」(産直・共同購入方式)の基礎を築いた津南高原生産組合と辻同団地食品の会の産直の取り組みの1年を描く。50年前の取り組みがまだ色あせていない。日本の有機農業運動の記念碑的な作品。

古い作品はなんでこんなに味があるのだろう。

【貧困と昆虫】2021年/日本/15分 監督:白木邦治

インドネシアのスラウェシ島には「蝶の谷」と呼ばれる野生の昆虫が豊富な一帯がある。しかし、観光化が進むにつれて、土産物として大型の希少なチョウが採取されて激減しているという。一時の日本のクワガタブームに、大型クワガタが輸出されてきた。現金収入に乏しい地域には、この昆虫ブームで生計を立てる人もいるという。無定見な採集は環境悪化を招く。その一方でそうせざるを得ない現実もある。先進国のブームに翻弄される人々を描く。

2022年2月19日〜23日オンライン上映
映画祭のために観た映画

 

『壊れゆく森から、持続する森へ』2020年 39分 監修:上垣喜寛、監督:香月正夫、協力:自伐型林業推進協会
『食の安全を守る人々』2021年/日本103分 監督・撮影 ・編集:原村 政樹

『THE STORY OF PLASTIC』

プラスチックは環境問題であり、数年前にもプラスチック関連の映画を上映したことがあり、映画会参加者にかなりアピールを与えたので特別目新しい内容もないので上映は不必要かと思われます。結論は、企業に責任を求めるということで、これでは進まない感あります。世界中の人々がプラスチックの便利さを享受してしまっており、それぞれがかなりの努力をしてプラスチック使用を厳しく抑えていくことが求められます。
映画自体の90分超えの長さも気になります。

 
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